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学谷ゼミ:2024年度前期を終えて

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はじめまして。2024年度より着任しました、学谷亮と申します。 あっという間に前期も終わり、気がつけばまだ一度もブログに投稿していなかったので、今学期の私のゼミについて、簡単にご報告しておきます。 今学期は、概ね以下のような内容を扱いました。 ・学術論文の構造と執筆のプロセス(教員自身の書いた論文を教材にして) ・参考文献の探し方と参考文献リストの作成演習 ・論証の基礎と演習 ・フランス詩法の基礎(音節の切り方と数え方、脚韻の種類、詩形)と演習 ・フーゴー・フリードリヒ『近代詩の構造』の内容要約・発表(ボードレール、ランボー、マラルメの章) 教えたいことはたくさんあるのですが、文学部で研究をする上で特に重要なアカデミック・スキルと、後期に行うフランス近代詩の分析に必要な基礎知識を中心に授業を行いました。 前期末の課題レポートとして、各人が興味のあるテーマに沿って学術論文を探し、その内容要約と論評を執筆する作業を夏休み中に進めていただきます。 また後期は、前期に概要を学んだ3人の詩人について、各人が好きな韻文詩を1つ選び、分析と解釈を発表していただきます。     *     *     * 私のゼミで重視しているのは、自分にとって馴染みの薄い、あるいは自分の理解の範疇を超えるような対象であっても果敢に食らいつき、不完全であってもよいのでその内容を自分の言葉で語り直してみるということです。 それゆえ、決して簡単ではない文章を読み、じっくりと考え、理解したことを言葉にするというのが基本的な流れであり、その意味ではかなりクラシックな(古色蒼然とした?)スタイルのゼミだと言えるでしょう。 しかし、大学で研究を進める上でそれは絶対に必要なことですし、卒業してからの仕事にも役立つと確信しています。 後期も、その姿勢を貫いて、毎週のゼミを進めていきたいと思います。     *     *     * 前期最後のゼミでは、特別企画として、エリック・ロメールが制作したマラルメについての教育映画の鑑賞会(私の解説付き)を行いました。 マラルメ(演:ジャン=マリー・ロバン)が語る言葉はすべて彼自身のテクストから採られたものなのに、生身の人間によって語られると少し「理解できた気」になるのは不思議なものですね。

田口ゼミ:OBトーク、最終回までの授業の流れ(追記:オープンキャンパスで述べたこと)

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 やっと夏休みに入ろうとしていますね・・・    田口卓臣教員のゼミでは、授業最終回に、ゼミ卒業生をお招きして、OB・OGトークを開催。  最前 列で、しゃがんでいるのが、OB・OGのみなさん5名。  さまざまな職種の先輩たちが、仕事を始めてから2年目、1年目の現状をそれぞれ振り返りながら、後輩たちの質問に次々に答えてくれました。  多忙な中、時間を作ってくれたOBの皆さん、ありがとうございました!   トーク終了後は、高幡不動で懇親会へ。  懇親会には、夜遅くまでの残業の後で、駆けつけてくれた卒業生もいました。ありがとうございます!  単なる「就活ノウハウ」を超えて、「どのように生きていくのか?」「どのような働き方を求めるのか」ということを、ともに楽しく考えることのできた貴重な時間でした。  トークの詳細やねらいは、中大文学部HPでご覧ください。 フランス語文学文化専攻教授 田口卓臣のゼミにおいて、OB・OGトークを開催しました | 中央大学 (chuo-u.ac.jp)     *     *      *  これまでのゼミの流れについても、簡単に振り返っておきます。  ルナールの小説『にんじん』は有名です。 しかし、そのシナリオ・バージョンは、まったく知られていません。  翻訳もゼロ。  そのシナリオを、3回にわたって読み解きながら、テーマや家族関係、近隣との人間関係を考察。 詳細な人物相関図をかきこみながら、読解を深めていきます。 ちょっとした実験もおこないました。 たくさんの「ト書き」を読み込んで、登場人物2名の絵をかいてみる、という試み。 ―― これがけっこう、盛り上がりました。 「にんじん」と「ルピック氏」の服装、髪型など……。 細かいところまでリサーチを重ね、相当に凝った絵を描きこんでいきます。 各グループの完成作はこちら!  どうも別のキャラも生まれている気がしますが、まあ楽しくやれたので、よかったよかった!  さらに、全3回分のテクスト読解で分かった「家族関係」「人物関係」をもとに、 自分たちだけの『にんじん』シナリオ(ワンシーン)を書いてみることに。  シナリオ制作に向けて、次々に斬新なアイディアが出てきます。    以下ができあがったシナリオの抜粋。 よく読んでいくと、かなりの怪作ですね・・・  まず、 殺人事件が発生した、というシナリオーー