斉木ゼミ:2022年度ゼミの内容

 斉木 眞一先生のゼミ紹介です

 

授業内容   

 テーマは食を手掛かりに小説と映画を読み解くことです。人間にとって極めて身近な食べるという行為については、それを中心にして広大な文化が形成されていますが、とりわけフランスではその傾向に顕著なものがあります。フランス文化の隅々にまで波及しており、専門演習ではすでに長い間このテーマを掲げていますが、毎年いろいろなことがわかってきて、なかなかやめられません。ゼミという場で大勢の知恵が出され、それがまた新たな発想のきっかけになるという連鎖のおかげです。


授業では一年交代で、小説か映画を取り上げ、そこに描かれた食事風景や食べ物・飲み物の話題などをめぐって、作品の分析と解釈をしていきます。ひとつの作品にはさまざまな事象が互いに関連しながら渾然一体となって描き込まれているわけですから、食を入口としながらも多くのことを考える契機となるはずです。つまり食文化そのものの研究にとどまらず、そこから発展してフランスの文化や文学を総合的に学んでいこうというわけです。


来年度は小説の年です。どの作品にするか、現時点ではまだ決まっていませんが、フランス近・現代の比較的短いものを前・後期一篇ずつということにしようと思っています。フランス語原文と翻訳を併用します。


授業は主に個人あるいは 3 人前後のグループによる口頭発表をもとに進めていきます。教材に沿った課題の詳細を各学期の初めに提示しますので、それにしたがって準備して教室で発表、という段取りです。課題としては、卒業論文・卒業課題研究への第一歩となるよう、作品研究の具体的な手順が体験できるようなものにしています。


主な指導分野     

 19 世紀後半からのフランス小説および文化全般(美術以外)が指導分野です。


 専門はプルーストをはじめとする近・現代小説ですが、その時代背景としてさまざまな分野をのぞいているうちに食の重要性、奥深さに気づきました(もともとフランス料理に興味はありましたが)。


 そういえばプルーストの小説は、糖分・脂肪分たっぷりで名前も意味ありげなお菓子マドレーヌを食べるところから始まるし、その後もしばしば長い食事の場面を通して多彩な人間模様を描いています。

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