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学谷ゼミ:2025年度ゼミの内容

  学谷 亮 (がくたに・りょう) 授業内容  このゼミで研究対象とするのは、 詩を中心とするフランス近現代文学と、日仏交流史・日仏比較文学に関するフランス語テクスト です。隔年で、韻文作品と散文作品を交互に取り上げます。 2025 年度は散文を扱い、 ポール・クローデル『朝日の中の黒鳥』( 1927 ) を読書会形式で講読します。これはクローデルが日本滞在中( 1921-1927 )に体験・見聞したことを素材とする文章を集めた著作で、日本文化を題材としていますので、我々にとっては一見とっつきやすく見えるかもしれません。しかし、クローデルの日本文化理解は独特です。そこに描かれているのは、あくまでも第三共和制期のフランス人の目に映った日本であるという事実を忘れてはならず、彼が前提としていた様々な「知」(例えば、キリスト教カトリック、西洋哲学・思想、フランス象徴主義など)のフィルターを考慮して読まねばなりません。とはいえ、そうした点の解説は教師である私の仕事であり、皆さんには何よりもまず フランス語の原文を虚心に読む ことを求めます。一言一句にこだわって、徹底的に「精読」しなければ見えてこない世界があるはずです。幸い、日本語訳もありますから、それらを批判的に検討しながら読み進めていくことになるでしょう。なお「読書会形式」とは、 担当者が決められた範囲について訳文を準備して内容を解説し、それを全員で検討して自由に意見を出しながら読んでいく 方式です。語学的にも内容的にも、簡単に読めるテクストではありませんから、「正解」を述べることにこだわる必要はありません。 参加者全員が、毎回最低 1 回は何らかの発言をし、読解に貢献すること が求められます。  また、前期授業の約 3 分の 2 を使って、 フランス文学・文化研究に不可欠な技術(特に学術論文の執筆法)の手ほどき を行います。これは、卒業論文を執筆される方はもちろん、卒業課題研究を選ばれる方にも必ず役立つはずです。教科書として、佐々木健一『論文ゼミナール』(東京大学出版会、 2014 年)を使用します。この教科書を全員で輪読して内容を理解すると同時に、そこで紹介されている技術・技法を習得するための練習も取り入れていきます。  なお私は、皆さんの人格と自主性を最大限に尊重して指導にあたることを信条とし...

前之園ゼミ:2025年度のゼミ内容

  前之園 望 (まえのその・のぞむ) 授業内容:  本ゼミの履修生には、授業の前後及び授業時間中に、グループワークを含む多くの課題に取り組んでもらいます。ゼミへの参加を重視しますので、特別な事情なく半期につき 5 回以上欠席された方は成績評価の対象とはなりません。また、欠席は事前連絡を原則とします。 2025 年度前期は、アンドレ・ブルトンの『狂気の愛』( 1937 )を扱います。本作品は全部で 7 章からなりますが、 2025 年度は第 3 章を中心に精読します。第 7 章を除く、第 1 章から第 6 章までは、もともとは単独記事として雑誌に発表された文章ですが、一冊の本としてまとめられると、一貫したテーマのようなものが浮かび上がってきます。履修生は、授業が始まるまでに本書を通読して、全体の流れを把握しておいてください。グループディスカッションと発表を通して、考えを深めてもらいます。その一方で、学術論文の探し方・読み方・書き方、パワーポイントによる資料(動画)作成方法の基本も紹介します。 夏休み中には、任意のフランス文学作品の研究論文を紹介する「論文紹介動画」、フランス文学作品の楽しみ方を紹介する「フランス文学作品紹介動画」を作成してもらいます。〈ネタ集め〉として、今のうちからフランス文学作品を読んでおいてください。また、夏休みに日本国内でできるフランス文化(につながるような)体験をしてもらい、その概要を後期に発表してもらいます。 後期は、夏休みフランス文化体験報告会、卒論・卒研中間発表会などを行ってから、夏休みに提出してもらった「論文紹介動画」に関するグループディスカッションを行います。授業準備として、動画で紹介されている論文を毎回 2 本程度読むことが必要になります。 成績は、授業への参加度とレポート内容に基づいて評価を行います。 ゼミへの参加度が低い場合は、単位は出ません。 上記内容に関連する記事を語文コースブログに公開していますのでご覧ください。 ・「 前之園ゼミ:夏休みフランス文化体験報告会 」( 2024 年 10 月 30 日)   本ゼミは以下のような方を歓迎します。ディスカッションなどのグ...

田口ゼミ:2025年度のゼミ内容

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  田口 卓臣 (たぐち・たくみ)   授業内容 :    ★ このゼミは、「 完全グループワーク制 」です。前期は毎回グループを変えつつ、後期は 3 回の大きな発表会(うち1回は卒論発表会)に向けて、様々な人たちと共同作業をしていきます。教員が正解を押し付けることはありません。 ★ ゼミ生は毎回、「 アウトプット 」をおこないます。いろんな人と一緒に、同じ題材を読み、話し合い、成果物を作り、人前で発表します。毎回の作業報告、レポート、計画書の進め方について、 自分たちで「体験」し、自分たちで「発見 」していきます。 ★ このゼミでは、「 自由創作 」を取り入れています。作品の人物関係やイメージをもとに、グループで創作画や創作シナリオ、原作の続篇などを作ってみます。これは、柔軟な「発想」を生み出す練習となります。この楽しさを体験すれば、翻訳やレポート執筆をAIに委ねることが、どれほどもったいない行為か、おのずと実感できるはずです。 ★ このゼミでは、 ゼミ出身の OB ・ OG との「つながり」 を大切にしています。毎年、 OB ・ OG を招き、「仕事」「就活」「卒論」について考えます。 OB ・ OG は、後輩の気持ちを理解しながら、アドヴァイスをくれる心強い先輩たちです 。このゼミに入ったら、<皆さん自身も>、そのような OB ・ OG になってください。   ▽ 内容紹介 毎年1つのテーマを設定し、フランスの文学、映画、マンガ、音楽などを考察しています。これまで扱ったテーマは、「幸福」「世間」「「私」とは何か?」「心と身体」「家族」などです。 2025 年度のテーマは、「食」「食文化」(もう少し精確にいうと、「食べること」の奥深さ、社会的・文化的・哲学的な意味)です 。現在、ゼミには、 4 年生 13 人(うち 2 名は 2025 年度卒予定)、 3 年生 15 人が所属しています。  授業は「1グループ= 4 ~5名」のグループに分かれ、ディスカッションを中心に進めます。毎回、各人の予習が不可欠となります。自分たちで LINE グループを作り、資料を調べ、役割分担やスケジュールを決め、授業時間外の連絡やリハーサルを重ねた上で、何度もグループ発表(全員参加)をしてもらいます。その間、ゼ...

前之園ゼミ:フランス文学作品紹介動画

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   昨年 に引き続き、今年も夏休みの課題のひとつとして「フランス文学作品の紹介動画を作る」ことをゼミ生にお願いしました。今回もまた、非常にクオリティの高い紹介動画が集まりました。何より、動画からなんだか楽しそうな雰囲気が伝わってくるのが嬉しいですね。  ゼミ内でアンケートを取った結果、今年は以下のような受賞結果となりました。 「この作品が読みたい!」部門 入賞作品 「勉強になる動画!」部門 入賞作品① 「勉強になる動画!」部門 入賞作品② 「この動画が好き!」部門 入賞作品 「この動画が好き!」部門・「こだわりの動画!」部門 ダブル入賞作品  その他の動画も、学内限定として以下にリンクだけご紹介しますので、中大全学アカウントをお持ちの方はログインしてご覧ください(順不同)。ぜひ、あなただけの受賞作品も見つけて下さい。 ① https://youtu.be/O6-SNBIFhsQ ②  https://youtu.be/cz8NiQTMMwA ③  https://youtu.be/ceD_pxvpIbY ④  https://youtu.be/aVZ6g3WC6Ko ⑤  https://youtu.be/pQynhBGcQ4g ⑥  https://youtu.be/xDermWxBj_8 ⑦  https://youtu.be/yFVBTa-LFAI ⑧  https://youtu.be/BH3GsWsgauY ⑨  https://youtu.be/lj6F7fb6UbA ⑩  https://youtu.be/iyHqpOQtZug ⑪  https://youtu.be/utkCviaecks ⑫  https://youtu.be/NnPtU_8KG5w ⑬  https://youtu.be/WKNwDWigrEM ⑭  https://youtu.be/K26Xrde4T-4 ⑮  https://youtu.be/YXwaJm0jpYw ⑯  https://youtu.be/m_uDaBboi_M ⑰  https://youtu.be/2q3C7HWeQlQ ⑱  ...

フェリエゼミ:2025年度ゼミの内容

  Michaël FERRIER ( ミカエル・フェリエ)   テーマ: Langue , littérature et politique chez les écrivains d’expression française 1) 授業概要・内容 : il s’agit d’étudier dans ce cours des écrivains d’expression française d’Europe, d’Afrique, des Caraïbes et de l’Océan indien. Pour chacune de ces zones géographiques , nous lirons des extraits de textes (écrivains du XX e siècle et contemporains), en portant notre attention sur leur extraordinaire fécondité linguistique, leurs ressources poétiques et politiques, et les enjeux dont ils sont porteurs «  pour l’écriture et pour la pensée  » en ce début de XXI e siècle. 2) 作家 : Amadou HAMPATE BA (Mali) , Aimé CESAIRE (Martinique) , Edouard GLISSANT et Patrick CHAMOISEAU (Martinique), Kateb YACINE (Algérie), Abdelkebir KHATIBI (Maroc), Agota KRISTOF (Hongrie), Emil CIORAN (Roumanie), Antonine MAILLET (Canada) , Axel GAUVIN (La Réunion) … Le cours fera aussi référence , dans une per...

小野ゼミ:2025年度ゼミの内容

 小野潮先生は 2025 年度末に退職されます。小野先生のゼミに所属した場合、 2025 年度秋に所属ゼミ変更(指導教授変更)の手続きが必要となります。 小野 潮 (おの・うしお) 授業内容 : シャトーブリアンの回想録『墓の彼方からの回想』を取りあげます。   19 世紀前半に活躍した作家、政治家であるフランソワ・ルネ・ド・シャトーブリアン( 1768 - 1848 )の回想録『墓の彼方からの回想』を抜粋して読みます。 シャトーブリアンは「ロマン派の父」とも称される作家で、 1830 年頃から活躍する後続世代のヴィクトル・ユーゴー、アルフレッド・ヴィニーなどに大きな影響を与えました。『アタラ』『ルネ』『キリスト教精髄』といった彼の著作は、 キリスト教文化や中世芸術、フランスの歴史に人々の目を向けさせました。 ただし、現在シャトーブリアンの作家としての名声は、ひとえに『墓の彼方からの回想』という回想録によります。フランス革命を挟んだ、フランス史でも最も激動の時期に生き、自身ある時期にはベルリン、ロンドン、ローマといったヨーロッパを代表する都市でフランス外交代表を務め、外務大臣としてフランスのスペイン出兵を主導までした彼は、単なる時代の観察者ではなく、その時代の立役者のひとりでもありました。こうした彼の経歴によって、この著作は歴史上大きな役割を果たした人物群(ルイ十六世、革命家ミラボー、ナポレオン、ロシア皇帝アレクサンドル一世、オーストリア宰相メッテルニヒ、ルイ十八世、シャルル十世、ルイ=フィリップ王、スタール夫人、レカミエ夫人等)が次々と登場する大パノラマの様相を呈します。 この著作は、自分の人生を語ることがそのまま「歴史」を語ることになるという稀有な人物であり、しかも、すぐれた文学者によって書かれた回想録であり、分量、壮大さ、複雑さにおいても、描き出された著者自身、また登場する人物群の興味深さにおいても、著者が生き、描き出した時代の有為転変の急激さ、さらにはこの回想録から響きわたる声の調子においても比類がありません。 残念ながら、この回想録にはごく一部分を不完全な抄訳したものしか現在まで日本では出版されていません。テキストは原文を抜粋したものと、その部分の小野による和訳をコピーで配布します。 小野の専門は、 19 ...

日仏シャトーブリアンシンポジウム

日仏シャトーブリアンシンポジウム 主催 :中央大学フランス語フランス文学研究会 ◆趣旨  シャトーブリアンはヴィクトル・ユーゴーを始めとするロマン派世代の作家に圧倒的影響を与えた作家です。  小説『アタラ』『ルネ』は大きな成功を収め、主著『キリスト教精髄』はフランス革命後のキリスト教リヴァイバル、中世芸術の発見に当たって大きな力となりました。  また、フランス革命を挟んで 1768 年から 1848 年まで生きたシャトーブリアンの回想録『墓の彼方からの回想』は、登場する人物群、そこに展開されるフランスの激動期の歴史、全編に響きわたる声の調子によって、比類のないものとなっています。  このようなシャトーブリアンに関して、 サンテティエンヌ ジャン・モネ大学教授、ジャン=マリー・ルラン先生をお招きして、ご講演をいただきます。  また、日本でシャトーブリアン研究を続けてこられた諸先生にも、お話をいただきます。 ◆日時 2024 年 11 月 23 日(土): 13 : 30 ~ 18 : 00 ◆場所 中央大学多摩キャンパス グローバルゲートウェイ 504 教室 (多摩モノレール「中央大学・明星大学駅」中央大学側出口を出て、すぐ左側の建物) ◆講演者+タイトル ジャン=マリー・ルラン(サンテティエンヌ・ジャン=モネ大学) 『墓の彼方からの回想』におけるフランス革命 : 叙事詩的エクリチュール 別役 昌彦 (中央大学) ” 荒野の騎士 ” の歌について 小野 潮 (中央大学) 『墓の彼方からの回想』におけるセギュール伯爵の『ナポレオンの歴史』の利用 モルガーヌ・アヴラネダ (名古屋大学) シャトーブリアンは真のジャーナリストなのか ? 野澤 督 (大東文化大学) デュパティが吹きこむ新しい息吹 ― 『 イタリアに関する書簡』におけるローマの描写 高橋 久美 (早稲田大学) シャトーブリアン『殉教者たち』における暴力と聖なるもの ◆注記 使用言語は日本語及びフランス語、発表言語ではない言語の原稿を配布予定 シンポジウム自体への参加は自由です。 ◆懇親会 シンポジウム後に発表者を中心に懇親会を予定しています。参加希望の方( 5000 円程度の参加費を予定)のみ、小野潮教員に、 11 月 20 日までにご連...